みなさんは森を知っていますか。
森は大きく2つの種類に分けられます。自然にできた天然林と人の手で作られた人工林です。
人工林は日本の森全体の40%を占めています。
林業とは、主に人工林の維持管理する仕事です。
人が作った森だから人が守らないといけない。
人が守るべき森を、ちゃんと管理して未来へ繋ぐ仕事が林業です。
春 植え付け
山には雪が残り、フキノトウが顔を出し始めるまだ前、山では「植え付け」の作業を行います。
ガタガタと揺れる軽トラの荷台にはこれから植えられる苗木が載っています。
25本ずつ藁で結ばれた苗木は、軽トラが横付けできる土の柔らかい所に仮植しておきます。
ここから、植える苗をその都度持って行っています。
実際には、車が入る道からずいぶん入った場所にも苗木を植えるわけで、そこまで荷上げするのは人力となります。
これが結構大変です。
一度に苗木を4束、尺竿と鍬をもち、山の斜面を順に植えていきます。
多くても一人1日400本。
地面が固かったり急斜面なら、そんなに植えられません。
まだまだ寒い早春は地面が凍ってたり、霜が立ってたり…。
なるべく日の当たる暖かい所から植え付けたいところです。
地域によって違いますが、1ha(100m×100m)に2000~3000本。
根っこが乾かないように注意しながら、一本一本植え付けていきます。
夏 下刈り
夏になると、「下刈り」が始まります。苗木より雑草が大きく育って、覆いかぶさってしまうと、成長できず、枯れてしまいます。
そんな苗木を救出するための作業です。
これが林業で一番過酷な下刈作業です。
夏の山には蜂や虫も多く、危険がいっぱい。なので作業の時は必ず長袖、長ズボン、ヘルメットなどの安全装備をして臨みます。
山の斜面を完全装備で刈払い機というエンジン付きの機械で刈っていくのです。
夏の炎天下。そして、人の背丈よりも大きな草の壁。植林したての山には日かげはありません。
秋から冬 間伐
秋から冬にかけての時期は木が休息し、根から水を吸い上げなくなるため、「間伐」、「主伐」に適しています。
間伐とは「間引き」のこと。成長の悪い細い木や曲がっている木、二股の木などが伐採されます。
かつてはこれらの材も足場板や杭、薪などの用途で使われていましたが、現在はほとんど価値のないものとなり山に捨て置かれています。
30年くらいになると間伐材も価値のあるものとして、搬出されるようになります。
間伐は木の成長に合わせて数年おきに繰り返します。
間伐すると林内に光が入り、隣の木との空間ができるので、残った木はより太く成長し、同時にしっかりと根を張ります。
秋から冬 主伐
そうして50年、60年ほど成長したら、ようやく一人前となり、収穫のときを迎えます。これを「主伐(しゅばつ)」と言います。木を伐り枝を払い規格の長さに切って、土場に集めて市場に出荷されていきます。
秋から冬 地拵え
主伐が終わると、枝葉や潅木を片付ける「地拵え(じごしらえ)」という作業を行います。 そうして春、また新たな苗木を植え、育て、また大きくなったら収穫する、というサイクルを繰り返します。
木材はこのサイクルを守り育むことで持続可能な資源となります。